ニセモノ彼女
「うん、そうだね。」
うまく笑えないよ。
そんな……翔太君みたいに 爽やかに笑えないよ。
「どうかした⁇」
横に首を振る。
どうかした、も何も どうかしすぎだよ。
翔太君、顔 近づかせて話すから 心臓がバクバク五月蝿いよ。
「そろそろチャイム鳴ると思う。
教室に入った方が良いと思うけど⁇」
翔太君に言われて、ハッとした。
「そうだね、教室に行かないと……だね。」
「帰り、一緒に帰ろ。
俺、花音のこと もっと知りたいし。」
……今まで、翔太君って 苗字呼びだったのに。
下の名前で呼ばれた。
嬉しい。