Chat Noir -バイオハザー度Max-
それからかくかくしかじか
お父様には順を追って私たちが“清い”(←ここを強調)お付き合いしていることを説明すると、
「はぁ~そゆうことね。
朝都ちゃんがぶっ飛んだこと言い出すから、まさかと思って焦っちゃったよ。
もう歳なんだから、あんまり心臓に悪いこと言わないでね」
みけネコお父様は気が抜けたのか、肩の力を抜いてタバコを取り出した。
「す、すみませぇん」
私は身を縮めてひたすら謝るしかない。
「いいんだよ?朝都ちゃんは何も悪くないから。
どーせ倭人のアタックにやられた口でしょ。
こいつこー見えて肉食だから」
お父様はにこにこ。
ネコは肉食動物ですもんね。
とは冗談でも言えなかった…
「まー、口説いたのは俺からだけど。
だけど決して軽い気持ちからとかじゃないよ?」
黒猫はテーブルの下に隠れていた私の手をぎゅっと握ってきた。
あったかい手は大きくて骨ばっていて、
ネコのくせしてそれは“男”の手だった。
「朝都も軽い女じゃないから。若い男をつまみぐいとかそうゆうのじゃないし」
つ、つまみ食い…とな…
「だから朝都は何も悪くないし。
この人をクビにしないでくれ……クダサイ」
私の隣で黒猫は真剣。
一応お願いごとしてるからか、最後は口調が(無理やり)丁寧だった。
ぎゅっと黒猫の手に力が篭って、私もその指の先をそっと握り返した。
結果がどうなろうと、堂々と『真剣だ』と言い切った黒猫の横顔は
やっぱり“男”の顔で、
くやしいほど、かっこよかった。