Chat Noir -バイオハザー度Max-
みけネコお父様は黒猫の言葉を無表情で聞いていて、時折口から煙を吐き出しながら、小さく頷いていた。
な、何を考えてるんだろう。と私はびくびく。
だけど最後に大きく煙を吐き出すと、
「クビ?何でそーなるの」と眉をしかめた。
「だって親父は…」
黒猫が探るように目を上げてみけネコお父様を見て、そして私の方に視線を移す。
「まぁ人それぞれじゃない?僕は別に頭が固い方じゃないから別にいいよ~」
“いいよ~”ってまたもあっさり!?
「いいよ。って随分余裕だな。何を企んでやがる?」
だけど黒猫は疑いの目でじっとみけネコお父様を睨んでいる。
「それとも何。朝都を近くに置いておけばいつでも手に入れられると思ってるわけ?
残念だったな。
俺、朝都のことマジで好きだから。
いくら親だからって譲る気はないよ?」
わ、わわ!黒猫っ!
黒猫のストレートな攻撃に私は恥ずかしさと緊張でまたもピキっと固まった。
「まー、確かに?朝都ちゃんは僕のタイプではあるけど?」
み、みけネコお父様もあっさり!?
「でもさすがにね~、息子の彼女を奪うほどのバイタリティーはないよ。ほら、何せ歳だから」
みけネコお父様は苦笑い。
「キミたちのことをは薄々感づいてたよ」
最後に意外な言葉を吐いて、みけネコお父様はタバコの吸殻を灰皿でもみ消した。
「は―――…?気付いてた?」
黒猫が大きな目をぱちぱち。
でもみけネコお父様は黒猫の問いかけをスルーして、にっこり私の方を見た。
「最後のタバコ。禁煙するんだ」
意味深に笑われて、私はぎこちなく笑顔を返すのが精一杯だった。