Chat Noir -バイオハザー度Max-
「話はぐらかすなよ。何で知ってたんだよ。
てかあんた、あからさまに俺を挑発したよな。朝都が狙いみたいに」
黒猫がちょっとイライラしたように腕を組んで、
「こらっ。お父様に向かって“あんた”はないでしょ」
私は黒猫の腕をちょっとつついて咎めた。
「ほーんと、倭人はまだまだ子供だなぁ。僕の挑発にあっさり乗っちゃってサ」
みけネコお父様は口を覆って「ふふふ」とイタズラっぽく笑う。
「おい。ふざけてんなよ」
黒猫がまたも額に青筋を浮かべて、私はまたもちょっと黒猫の袖を引っ張った。
「倭人にはしっかりした年上のお姉さんがやっぱり合うな♪」とみけネコお父様。
いえ、私しっかりはしていません。
「僕がそれとなく二人の関係に気付いたのは
倭人が朝都ちゃんのことを“朝都”って呼び捨てにしたとき」
みけネコお父様がにっこり笑って私たちは顔を見合わせた。
あれ??そんなときあったっけ?
「ほら、前回一緒に食事したとき、僕が送っていくって言ったけど倭人は
『俺が朝都を送ってく』って言ったじゃん」
「……あ」
黒猫は合点したように目を開いて、ゆっくりと口元に手をやった。
「そーゆうとこがまだまだお子ちゃまなんだよ、倭人は」
みけネコお父様がまたもからかうように笑う。
「大人の男はもっと抜かりなくやるよ~。特に絶対知られたくない場合はね。
朝都ちゃん良かったね~倭人が浮気したらすぐ分かるよ♪」
う、浮気!?
「浮気なんてしねーし」
黒猫はちょっと声を低めてみけネコお父様を睨む。
「で、でも何でわざと倭人…くんを怒らせるようなことしたんですか?」
親子なんだし、そんな騙すようなことしなくても直接聞けばいいのに。
そんな想いでいると、
「実は~……僕の方も、ちょ~~~っとばかり事情があってね。
こうゆう場じゃないと言えないと思って。
倭人をつついたら、
真面目な朝都ちゃんだからちゃんと報告しようって言い出すかな~って思って」
みけネコお父様はぎこちなく笑顔を浮かべて頭の後ろに手をやる。
事情…?
つついたら?ってことは全部計算!??
でも何のために。