Chat Noir -バイオハザー度Max-
私は黒猫の指にアルコールの液体を絡ませるように、自分の指を絡ませた。
「こーやってね。指の間まで消毒液を擦り込ませるの」
ゆっくりと指を絡ませてなぞるように黒猫の手の甲に指を滑らせる。
「なんか変な感じ…」
黒猫がくすぐったそうにちょっと笑って、覆いかぶさった私の手をやんわり引き剥がした。
前を向いていた黒猫が振り向き、洗面ボウルの縁に腰をおいて、
今度は真正面から私の手を握ってきた。
「朝都もしょーどくしなよ。
こーやってやるんだよ?」
指と指が絡まって、私の手が黒猫の体温になじむかのようにじわりと温かくなる。
「知ってる」
時々てのひらを広げて手と手を合わせ、また絡めて……
消毒液はすっかり手のひらになじんだろうけど、私たちはそうやって指を絡めたまま。
ぐいっ
ふいに引っ張られて、私は黒猫と手を合わせたまま……私は黒猫の腕の中にあっさりおさまった。
黒猫がちょっとかがんで、私の顔に影が落ちた。
私たちは両手を絡ませたまま、口付けを交わし―――
その口付けは、いつも(ってそれほど回数したわけじゃないケド)交わす触れるような軽いキスではなく、
大人のキスだった。