Chat Noir -バイオハザー度Max-



そう思うと、何だか私の方がきゅっと心臓が苦しくなった。


黒猫が無口で無愛想なのは、ミケネコお父様を反面教師として見てきたんじゃなくて、


悩みとか不安を誰にも打ち明けずに来たから。


弱いところを悟られないように。


それは孤独に生きる野良猫のそれと一緒だ。




私は野良猫を拾ったの。だから飼い主の腕の中で甘えていいのよ。





私は黒猫の髪をちょっと撫でた。


「どーしたん?」


黒猫がちょっとくすぐったそうに笑って身をよじったけれど、私は黒猫の髪を撫でる手を止めなかった。






言いたくなったら言ってね。





―――




「俺には朝都にわるさするなとか言っておいて自分はちゃっかり子供を作るとかどぉ!?ありえなくね?」


同意を求められて


「そだ。そーだ!」


私は缶ビールを握り締めて同意。


私が黒猫の頭なでなでして「言いたくなったら言ってね」と心の中で呟いてから一時間後。


案外早かったな。


……と言うのも、テーブルには缶チューハイやらビールやらの空き缶がたくさん転がっていて、


どうやら酔ってるみたい??


顔色は変わんないんだけど、


「てかあの歳でガキとか…てか俺の製造元があいつかと思うと、そっちの方が恥ずかしいよ」


製造元!


ま、まぁ考えたら“これ”もMADE IN店長だよな。


黒猫は両手で顔を覆って「しくしくしく…」と泣き声(?)をあげてその可愛すぎる仕草にキュン。





ってか、完全酔ってんなー。







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