Chat Noir -バイオハザー度Max-
「聞いてる、朝都?」
急に聞かれて
「は、はい!」聞いてませんでした…
慌てて顔を戻すと、いつの間にか間近に迫った黒猫の顔。
びっくりして目をまばたいて身を引くも、
黒猫の顔が私の顔を追いかけるように迫ってくる。
「俺は新しい母親なんて認めねー」
真剣な顔で言われて私はまたも目をぱちぱち。
黒猫……やっぱり…
だけど、黒猫はふっと表情を緩めると、
「なんて可愛いこと言うと思う?」とふわふわと笑った。
へ??
…いや、あんた存在自体が可愛いから。
って、またも私のバイオハザードウィルスに侵された脳がおかしすぎる考えを浮かべている。
「別にあいつが誰といつ結婚しよーと俺には関係ねーし。
てかちゃっかり子供作ったあとに言われてもねー、頷くしかないじゃん?」
と、ちょっと楽しそうに笑った。
「大体さー、ガキじゃあるまいしこの歳で父親の恋愛事情に興味がないっていうかさー」
黒猫は何でもないように言ったけれど、
少なからず動揺はしているはずだ。
「親父が結婚したらあの人と一緒に住むってことかー。俺あの人とうまくやっていけるかな?」
珍しくしおらしいことを言って、でもそれは口実なのかさりげなく私の腕にぎゅっと腕を絡ませてくる。
でもそれは何かをしたいと言う下心ではなさそうで、ネコが甘えてくるみたいな可愛い仕草だった。
私はちょっと笑って黒猫の髪を撫でると
「大丈夫だよ」
一言そう言うと
黒猫はまたもくすぐったそうに笑った。
「居づらくなったら…い、家出しておいで。
私はいつでもあんたを抱きしめてあげるから」