Chat Noir -バイオハザー度Max-
「あっためてあげるよ。私はいつでも」
私は黒猫を見上げて見つめて、
私たちは今日二回目のキスをした。
照明のすぐ真下では二人の影を重ならせている。
黒猫がちょっと強引な仕草で私の頭を抱き寄せると、私の髪をまとめていたヘアクリップを髪から引き抜いた。
ぱさっ
髪が肩に落ちる音がしてほどける。
「そんなひっつめてると頭痛くなるよ」
すぐ近くで僅かに睫を伏せながら囁く黒猫の表情は色っぽい“男”の顔。
私はドキドキと煩い心臓を宥めるように
「ひっつめてるってね…これまとめるのに結構苦労するのよ」と無理やり笑う。
「うん。
あの髪も好き。あの髪型もすげー似合ってた。
きれーだった」
黒猫が髪の一房を手にとり、まるで愛しむようにその髪にチュっとキスを落とす。
照れ隠しなのか黒猫は私の額にちょっと熱くなったおでこを合わせたまま、大きな骨ばった手を私の腰あたりに彷徨わせた。
「朝都の腰…ほっそ。抱きしめたら折れそう」
囁くように言ってうっすら笑い、またも照れ隠しか触れるだけの優しいキスを何度も繰り返す黒猫。
「折れないって。人間の骨は丈夫なの。だけど人間のここは…」
私は黒猫の胸元にそっと手を這わせた。少し薄地のグレーのカットソーの上から指を這わせると、黒猫のあったかい体温をもっと間近に感じた。
「ここは?」
黒猫が額を合わせたまま、そっと囁く。
「ここは少しのことで壊れそうになるの。倭人のここが壊れないように、
私がいつもあんたの傍に居る」
黒猫を抱き寄せると、黒猫はまたも私の頭を力強く抱き寄せて今まで以上に
強く抱きしめあい
今まで以上に長いキスをして
今まで以上に体温を間近で感じながら、
すぐ背後に位置していたベッドに
上体を横たわらせるよう崩れた。