Chat Noir -バイオハザー度Max-



「にゃ~…」


ネコの甘い鳴き声が聞こえて、ふわふわの頭を私の頬にすりすり。


「…おなかすいた?もーすこし…寝かせて…」


むにゃむにゃと寝言を零して寝返りをうとうとすると、


何かの重みで身動きがとれなかった。


「倭人…重い……上に乗っからないで…」


飼いネコの体をどかそうとして、はっ!となった。


ぱちっと目を開けると、


目の前には可愛い黒猫(注:人間の男の子です)の寝顔のドアップが……


「ぅわあ!」


あまりにも驚きすぎて飛び起きると、その勢いで


ドタッ


かっこ悪くベッドから転げ落ちた。


「痛った~…!」


「……な…何?」


その音にびっくりしたのか黒猫が眠そうにまぶたをこすってむくりと起き上がる。


ってか黒猫。昨日は声掛けても揺すっても起きなかったくせに。


私がベッドから転げ落ちる音で目覚めるとか…


「…ご、ごめん。起こしちゃった??」


打った腰を押さえながら何とか身を起こすと、


「………」


黒猫は状況が理解できてないのかうつろな視線で辺りをきょろきょろ。


やがてちょっと考え込むようにベッドの下の私をじっと見つめてくると、無言で手を差し伸べてきた。


思いのほか力強い腕で引き上げられると、


「……その歳でベッドから落ちるとかありえなくね…?」とかすれた声で聞いてくる。


酔っ払いの黒猫はあんなに素直で可愛かったのに、寝起きの黒猫は超可愛くない!





「あんたがベッド占領するから!あんたがっ!」






あんな可愛い寝顔してるからっ!!







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