Chat Noir -バイオハザー度Max-
「黒猫の肌、さらっさら!なの。きめが細かいし、肌のハリとか。
若いからか!?水弾くよっ!」
「あっそー…」
涼子は呆れたように白い目。
「腰もね。こうキュっと引き締まってて。腕なんか血管浮き出てたんだよ。
引き締まった“あんよ”もすてきだった。
元彼とは全然違うわ」
私が黒猫の腰周りを両手で計るように表わすと
「あんた、朝からバイオハザードウィルス全開だね」
はい。絶好調です!
ゆっくり歩こうかと思ってたばかりなのに、あの黒猫相手に私の方が先におかしくなりそうだ。
「もういっそあんたから襲っちゃったら?」
涼子は他人事のように笑う。
なっ!襲うとな!!
「あんた逃げ惑うマウスを素手で捕まえて、麻酔の注射打つの得意技じゃん?」
なるほど…マウスがネコになったと考えればいいのか。
私は研究室の電話に手を伸ばし、
「もしもし溝口さん?朝都です。フェンタニル注射液(麻酔薬の一種です)今日持ってこられます?」
電話を切ったあとで、
……何やってんだ、私。と我に返る。
「…溝口さん…私のこと何か言ってた…?」
コーヒーのマグカップをぎゅっと握りながら涼子が眉を寄せて聞いてくる。
「…いや、何も」
「………そう」
涼子は深いため息をついて項垂れた。