Chat Noir -バイオハザー度Max-
街の結構高級…な結婚式場に黒猫と二人で出向くと、
ウェディングドレスを試着していたペルシャ砂糖さんがフィッティングから出てきた。
胸の下で切り替えがしてあるシンプルなデザイン。
可愛らしいペルシャ砂糖さんにはもっとレースやフリルがあってもいいと思う。
「もう少しするとおなかが目だって来るでしょう?マタニティー用のドレスなの」
とペルシャ砂糖さんが恥ずかしそうにちょっと笑う。
う゛~ん、砂糖みたいな甘い笑顔にみけネコお父様より先に私の方がKOされそうだ。
「似合ってると思いますよ」
黒猫の相変わらずのそっけない物言いに、ペルシャ砂糖さんはドレスの端を握って鏡で自分の姿を眺めている。
ペルシャ砂糖さん。これはこいつなりの最高の賛辞なのです。
そんな意味で黒猫を押しのけてズイと私が前に出ると、
「砂糖さん…じゃなくてカズミさんはもっとふりふりふわふわが似合うと思います」
私が人差し指を突き立てると、ウエディングプランナーの女性スタッフも同意。
「まだお若いしお顔が華やかなので黄身の強い白よりも青みのあるのタイプなんてどうでしょう」と一着のドレスを差し出し、
「そうかしら…じゃぁもうちょっと悩んでみようかな」と微笑んでペルシャ砂糖さんはまたもフィッティングに入っていく。
「あ、待って」
黒猫がペルシャ砂糖さんを呼び止めてケータイのカメラで写真をパシャリ。
「親父が写メ送れって。あいつどこまでも迷惑なヤツだよな」
はぁー…と黒猫が盛大にため息を吐いてしゃがみ込み、私は同情気味に黒猫の肩を叩いた。
「てか何か視界が眩しいね。ウエディングレスがいっぱいだから?」
黒猫は大きなお目めを眩しそうにしばしばさせて周りを見渡す。
「まぁ白がメインだしね」
白にも色々あるってこと今日知ったばかりだけど。
黒猫は興味深そうに店をふらふら。
と言ってもこないだみたいに見失うことはなかった。
白いウェディングドレスの波の中、黒い髪がふわふわ目立っている。
さながら式場に黒いネコが迷い込んだような。