Chat Noir -バイオハザー度Max-
白いドレスをちょっと引っ張ってまじまじと繊細なレースを見てみる。
ワンショルダーのドレスで肩の部分が大きなリボンになってる。
でも可愛すぎないデザインが上品な感じ。
ステキ…
このドレスを着てエスコートしてくれる父親と、真っ赤なバージンロードを歩く。(バージンじゃないけど、小さいことは気にしないで)
私の視線の先には黒いタキシード姿の黒猫……倭人がちょっとはにかみながら
私を待っている。
ちょっと想像して、
キャー!!!
私は一人ドレスを握ったまま身悶え。
「何してんの」
黒猫の呆れたような声で妄想は終了。
恥ずかしすぎる。自分がイタい。
ってかバイオハザードウィルスの影響だな。
私はドレスを握ったまま赤くなった顔を隠すように俯いた。
中身おっさんで、バイオハザードウィルスを飼っている私には、こんな可愛いドレスに似合わないって。
慌ててドレスを押し戻そうとしたけれど、黒猫の手がそれを阻むように重なった。
「何考えてたの?」
ちょっと意地悪そうに口の端をにやりと吊り上げて黒猫が笑う。
…う゛
「べ、別に私が何を考えてたっていいでしょ」
恥ずかしさを隠すためちょっと目を吊り上げると、黒猫はちょっと寂しそうに顔を俯かせる。
「俺との未来を想像してくれるとちょっと嬉しかったんだけどな」