Chat Noir -バイオハザー度Max-
そんなバーチャル結婚式を二人で「あーでもない、こーでもない」と話し合いながら
ペルシャ砂糖さんのドレス選びは終わった。
ってかその場で決められなかったんだけどね。
たくさんドレスを試着して、それを全部黒猫は律儀にケータイに撮り納めていた。
それをみけネコお父様に見せてあとでペルシャ砂糖さんは二人で相談するって。
なんだかんだで仲良いんだから。親子ネコたちめ。
ペルシャ砂糖さんは付き合ってくれたお礼に、ということで夕飯をごちそうしてくれた。
身重のペルシャ砂糖さんが気軽に食事を楽しめるファミレスを選んで、彼女とはお店の前で別れた。
「優しいねペルシャ砂糖さん」
話し方もおっとりとしていて、ちょっと天然?みたいなところも可愛い。
「おっさん朝都とは正反対だな」
と黒猫が余分な一言。
「何よ」
「ホントのことだろ?」
「分かってるけど彼女に言う台詞?」
とちょっと怒ったフリをしているときだった。
「アキヨシー、今日私疲れてるの。晩ごはんあんた作って」
「はぁ?てか買い物するため俺が車出したんだから、夕飯ぐらい作れよ」
聞き慣れた男の人の声がどこからか聞こえてきて私は思わず目をぱちぱち。
すぐ近くで若い男女がスーパーの袋を持って、きれいなマンションに入っていくところだった。
女の人の方はきれいに纏め上げた髪型がいかにもデキそうなキャリアウーマンみたいな感じで、ぱっと見美人だった。
男の人の方は―――
黒いトレンチコート。スマートなその後姿を見て、私は目を開いた。
「溝口さん?」
思わず声を掛けて、男女が振り返る。
「あ…朝都さん?」
溝口さんがびっくりしたように立ち止まり、私たちを凝視していた。