Chat Noir -バイオハザー度Max-
―――次の日
なんとなく涼子が気になって、私は涼子の研究室を訪ねた。
涼子は白衣姿で顕微鏡に向かっていて、その近くにはやっぱり同じように学生がそれぞれの研究に没頭していた。
さすが植物バイオ!みんな真面目だな。
白衣を着た学生たちがみんなインテリに見えるよ!頭良さそ~
なんて感心してる場合じゃないって。
「朝都?珍しいね。ここにくるなんて。今日は枝豆はないよ」
涼子は普段通りだった。
てか枝豆ってね…私どんだけ食い意地はってんのよ。
ま、まぁ…?時々バイトの給料前とかお世話になってるケド。
(実験台になる代わりに食費を浮かせてる)
「昨日…溝口さんから…電話あった?」
私はバカかも。こんなこと言ったら何かあったことを教えてるようなもんじゃない。
でも涼子は気にならなかったのか、
「溝口さん?ううん…」
と首を横に振る。
「ねぇ涼子、溝口さんに返事は…」と聞いてみると
「…まだ。それを聞きにきたの?」怪訝そうに聞かれて私は慌てて首を横に振った。
「ちょっと気になっただけだから!気にしないで。
てか…もうちょっと……考えた方がいいかもね」
私はそれだけ言うと慌てて植物バイオの研究室を出た。
好き=結婚
じゃない。
溝口さんが言った言葉の意味は分かる。
結婚て好きの延長線上にあればいいと思ってたから。
きっかけは小さなことで付き合うものだよね。だから先の道なんて当然見えてないわけで。
年齢を重ねるほどその思いが強まった気がする。
でも黒猫は違う。
倭人の道はスタートからゴールまでずっと一直線。
私はどっちかと言うと溝口さん寄りの考えだったけど、
まっすぐ過ぎる黒猫の考えに
嬉しくなったんだよ。