Chat Noir -バイオハザー度Max-



「涼子さんとの初デート、水族館てベタかと思いましたがすっげぇ楽しかったです」


と溝口さんはとろけそうなほど激甘な笑顔で、照れ照れ。


単なるノロケに私は白い目。


「溝口さん」ちょっと彼を見据えて溝口さんが目をぱちぱち。


「仕事してください」


冷たく言ってやると、溝口さんは恥ずかしそうに笑って、発注ノートを開いた。


「しっかり働かなければ!俺、涼子さんには苦労させたくないんすよ」


あー、はいはい。そーですかぁ。幸せそうでなによりですワ。


私は涼子にもらったお魚ビスを口に入れながらやさぐれ中。


私だって行きたいわよ。黒猫と水族館。


でも前回黒猫が大学まで会いに来てくれたとき以来、お互いの予定が合わなくてデートしてない。


勉強の日は会うけど、


……勉強だしね。色気がない。


「前から思ってたんですけど、溝口さん、涼子のどこを好きになったんですか?」


ちょっと気になったから聞いてみた。


溝口さんはノートを開いていた手を休めて目をまばたきさせた。


「どこを?うーーん…最初は顔っスね。


いわゆる一目ぼれってヤツ?」


「一目ぼれぇ?じゃぁ涼子があの顔じゃなかったら好きになってなかったってことですか?」


「いや!そりゃ最初は顔でしたけど、何て言うか…優しいんですよね。


仕事の愚痴とか…俺も男だから気になる女性にあんまりこぼしたくないのに、聞き出すのがうまいって言うか…


真剣に話聞いてくれて励ましてくれたり、とか。


ありがちですけど



同棲してた元カノはそうゆうのイヤがりましたから、凄く癒されたんです」


分かる。


…涼子のそれは計算とかじゃなく…


私にも浩一にも―――誰にだってそうだ。


長女だからか?(涼子は妹が二人居ます)面倒見がいいって言うのかな。


いつも真面目に人の話を聞いてくれて、いっつも元気になれるように励ましてくれる。


涼子といると


安心できるんだよね。


しかもあれでいて恋愛体質ときてる。男の人がはまるのは分かる気がするよ。





「涼子は冷たそうな美人て思われがちですけど、ホントはあったかい子なんです。


幸せに―――してあげてくださいね」






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