Chat Noir -バイオハザー度Max-
「…ごめん朝都…私、無関心じゃないのよ?こう見えても結構考えて…」
と涼子が私の方を見ておろおろしている。
「や。違う…わさびが利いた」
鼻の付け根を押さえて私は鼻を啜った。
本当はわさびのせいじゃないこと、私自身が一番分かっている。
「でも男女の中に純粋な友情が成立するのか―――それは恋愛と友情の永遠のテーマですね」
と溝口さんは私の隣で腕組みをして真剣。
「俺はあると思いますけどね。男女の友情」
溝口さんがいち早く答えて両隣の私たちを眺める。
「私は“ない”の方だなー。そもそも男と女の脳は作りが違うのよ。
違う生物の考えに同調できるほど人間器用じゃないわ」
涼子の言葉に私は意外な感じを受けた。
だって涼子だって浩一と仲良かったし。あいつは一応生物学的にはXY染色で…
失礼。またも染色体レベルで考えてしまった。
「元々私と朝都は入学してすぐに仲良くなったじゃん。そこに浩一が声を掛けてきて。
言い方悪いけどあいつ最初から朝都狙いだったんだよ。だから私とも仲良くしてただけ」
「入学……私狙い??」
…って、そんな前から!?
「私をしたたかな女だと思います?溝口さん。
浩一はまぁ一緒に居て楽しい男だし、私には害がないし、一緒に居ても苦痛じゃなかったから何かとつるんでたわけですけど」
涼子が真剣なまなざしで溝口さんを見て、溝口さんは肩をすくめた。
「全然。ってか楽しい以上の感情で居られたら俺が困りますけど。
人間なんてそんなもんじゃないスか。何らかの利害が一致して一緒にいるわけだし。
その“利”の部分が“楽しい”って感情だったら
充分理由になりますよ」
はぁー…
二人とも大人だなぁ…
と二人の会話を聞きながら私は一人で感心。
私は―――浩一と居ることに何も疑問を抱かなかった。
何も深く考えてなかった。
涼子の言う通り―――浩一といると、楽しかったから。