Chat Noir -バイオハザー度Max-
「まぁ人の気持ちは強制的に動かすものじゃありませんしね。
三年半一緒に居て何もアクションを起こさなかった浩一サン、
半年だけなのに、それでも気持ちに気付いて早々に行動を起こした黒猫くん。
やっぱりその違いが大きいですよね」
溝口さんはタバコの灰をトンっと灰皿に落として結論を出した。
「恋愛に大事なのは『三つのing』だって知ってます?」
唐突に聞かれて私は目をぱちぱち。
「一つ。タイミング。一つ、フィーリング。あとはハプニング」
なるほど…私は溝口さんの言葉に無言で頷いた。
黒猫はたぶん…ingの意味を知らないだろうし、そこまで深く考えてたわけじゃなさそうだけど。
ある程度時期は見計らってただろうけど、その時期ってやつもあいつが『お祈り』してたわけだし。
そう考えると、無関心そうな顔してて、そのタイミングでさえ自分で創りだす(実際は偶然だったけど)あの子の行動が、
ホント謎…
でもまぁ……なんとなく頷ける気がする。
最近知ったけど、私も黒猫も同じB型だしね。フィーリングはバッチリ??
ってか、なんか濃!
ハプニングは…言うまでもなくたくさんありすぎるケドね…
でもそのお陰で愛が深まったと言うか…
ぅわぁ!自分なに思っちゃってンの!!
バイオハザードウィルスのヤツがまたも活性化した。
「それを考えると浩一が当てはまるのはフィーリングだけ??
それも時々ハズしてる感じがするし。
ま、どっちにしろ行動起こさなかった浩一が悪いわよ。
あんたが気に病むことはないわ」
涼子は他人事のように言ってビールを飲み込む。
ちょっと冷たいぐらいの物言いだけれど、
「実際そのところが大きいですよね」と溝口さんも同意。
溝口さんは…思い切って行動した方だからな。
黒猫もだ。