Chat Noir -バイオハザー度Max-
―――
高校の正門が見える曲がり角で私は顔だけを出して入り口を眺めていた。
さっきから授業を終えたこの高校の生徒が出てくる。
黒猫と同じ制服…
見慣れない一団にドキドキと緊張。
黒猫の高校へ来るのは二回目。
一回目は文化祭だった。
でも一人で来るのははじめてだな。
き、来たは良いけど…どうしよう…
会いたいから…とか単純な理由で、高校まで来ちゃって私もしやストーカー!?
ちょっと遠くからその様子を窺っていると、通り過ぎる高校生たちに不審そうにじろじろ眺められた。
や、やっぱ帰るか!
くるり
方向転換をしようとしたときだった。
「あっれー?アサちゃん??♪」
聞き慣れた声がして振り返ると、少し離れた場所で黒猫の幼馴染、
トラネコリョータくんがにこにこ笑顔で手を振っていた。
「トラネコくん…」
ほっ
見知った顔を見てちょっと安心。
「何?♪倭人に会いに来たの~?」
トラネコリョータくんが人懐っこい笑顔を浮かべて走り寄ってくる。
「…え!うん」
「あいつ美化委員の掃除させられてるよ。も少し掛かるかも」
「遅刻のバツででしょ?」
「知ってたの??バカだよなー、あいつ。もっとうまくやれっての」
トラネコくんは何がおかしいのかケラケラ笑って、
「あいつが掃除してるブロック、連れて行ってあげるよ」と親切なトラネコくん。
「……ありがと」
素直にお礼を言うと、
「いいの、いいのー♪こっち♪」
ぎゅっ
トラネコくんが自然な仕草で私の肩を抱き寄せながら歩き出す。
………
「ちょっとトラネコくん?こっちに本当に倭人が居るの?」
思い切り不審そうにトラネコくんを見上げると、
「アサちゃん、倭人なんて可愛げないネコやめて俺を飼いなよ♪」
トラネコくんのアブナイ発言を聞いて、私はぎゅっとトラネコくんの手をつねった。
危なかった。
もう少しで付いていきそうになったよ!
てか高校生に騙されかける私……どうよ。