Chat Noir -バイオハザー度Max-
黒猫はジャージ姿で軍手をはめ、大きなゴミ袋と箒を持っていた。
その隣には同じ格好をしたカリンちゃん―――……?
ゆるくカーブ掛かった髪はお掃除仕様なのかポニーテールにしてある。
どんな髪型にしても…どんな服装をしても可愛いカリンちゃんを見て
ドキリ
と心臓が嫌な音を立てた。
…だけど…カリンちゃんもお掃除?真面目そうに見えるけど遅刻の常習犯?
私が一人悶々と考えている横で、その思考を遮るかのようにギャル軍団がギャイギャイ。
「何、財津の彼女!マジで!」
「てかあんた彼女なんて居たの!」
「てかあんたが恋なんてできんの!」
ギャルたちの声のトーンが下がって、さっきとは違う種類の驚きの声を上げている。
黒猫…随分な言われようだな。
「ギャーギャーうっせーな。居ちゃ悪いんかよ」
と黒猫は迷惑そうに顔をしかめている。
黒猫…不機嫌そうだ。
会いに来られて迷惑と思ってるかも。しかもこんな女の子たちがいっぱいいるし、おばさんの私が彼女なんて恥ずかしいだろな…
そう思って思わず俯くと、
黒猫の隣ではカリンちゃんも気まずそうに顔を俯かせていた。
「…あ、あの!ごめんね倭人。特別な用があったわけじゃないから」
私がトラネコくんの腕から逃れて慌てて手を振ると、
「何で?用がなくてもいいじゃん」
黒猫は相変わらずのけだるそうな表情であっさり。
「へ……?」