Chat Noir -バイオハザー度Max-
「何よ」
やっぱり生意気。
黒猫め。
黒猫は両手をジーンズのポケットに突っ込み、無愛想に私を見下ろす。
「何……よ」
黒猫は私の口からタバコを抜き取り、猫みたいな大きな目でじっと私を見つめてくる。
「何?」もう一度訝しく聞くと黒猫はまたも
「ばかじゃねぇの」
もう一度呟いて目を細めると、こつんと私の額に自分の額を合わせる。
間近に迫った黒猫の整った顔。
黒い髪の先が私の頬を撫でる。長い睫が私の瞼をかすめる。
黒猫はきれいな顔にほんの僅かに赤い色を浮かべて、またも私から目を逸らすと視線を泳がせた。
それは私の知ってる“猫”の顔じゃなくて“男”の表情だった。