Chat Noir -バイオハザー度Max-
クマをふらふらさせて黒猫は照れ隠しなのかクマのぬいぐるみを私の顔に押付けてくる。
「ちょっ!やめてよー」
冗談ぽくクマを押しのけると、すぐ近くに黒猫の顔があって
「ごめんね。
『隠し事多い』って人のこと言えねーよな」
小さく囁かれて、私の心臓がドキリと鳴った。
「ううん。私こそ…なかなか言い出せなくてごめん」
私が黒猫を見上げると黒猫がほんの僅か笑って私の頬に手を伸ばしてきた。
「バカみたいだよな。
変なヤキモチやいて、考え込んで。
なんか色々比べちゃうんだよな。こーいちさんは朝都と吊りあう大人だし」
それは私も一緒だよ。
私だってカリンちゃんやロシアン葵ちゃんと比べちゃうし。
だって黒猫の隣に並んでて不自然じゃないのは、やっぱり彼女たちだから―――
でも
不自然だと分かっていても、黒猫の隣に居たいの。
私たちは五歳と言う年齢の壁があるけれど、
でもその壁も距離も
今だけは考えずに
乗り越えて、縮めて
顔を近づけた。