Chat Noir -バイオハザー度Max-
むぎゅっ
私たちの間でクマのぬいぐるみが苦しそうにしていて
「「………」」
思わず顔を合わせると、
「邪魔」
と言って黒猫はクマを取り上げて紙袋の中に強引にぎゅぅと押し込む。
持って来てくれたの黒猫なのに、それ私のプレゼントなのに酷い扱い受けてるクマちゃん。
でもクマちゃんのことを気にする間もなく
私の唇にそっと黒猫の唇が重なる。
久しぶりの
黒猫とのキス。
触れるだけの優しいキス。
唇が離れると黒猫は私の額にこつん。
「朝都の唇変な味がした」
「悪かったわね、変な味で。
あんたが持ってきてくれた日本酒の味よ。あんただってねー五年もすればこのおいしさに気付くんだから」
「前も言ってたよなその台詞」
黒猫はかすかに笑って、でも次の瞬間
長いピアノ線みたいな睫を伏せてそっと一言。
「どーしたらさ、
どーしたら
朝都を完全に俺のもんにできるのかなー」
私が目だけを上げて黒猫を見上げると、黒猫は恥ずかしそうに目を伏せて
「ごめん。またガキみたいなこと言って」
とちっさい声で呟く。
どうしたら…
「クマもさー…女の人に贈るにはガキっぽいかなって思ったケド、でもほかに思いつかなくてさ。
ごめんね、ちゃんとできなくて」
私は小さく首を横に振った。
ちゃんとできないのは私―――
私が五歳も年上だからしっかりしないといけないのに…
黒猫を不安にさせて。
でも同じだけ私も不安だった。
この不安やわだかまりは、これ以上進んだらなくなるのだろうか―――
「倭人―――…
ホテル
行かない?」