Chat Noir -バイオハザー度Max-
黒猫が大きな目を開いて私を凝視してくる。
ぅうわ!ハズした!!
しかも女から誘うなんて!はしたないと思われたかな。
と私は心の中で思い切り動揺。
「えーっと…それはリゾートホテル?それともビジネス…いやいやシティホテル…じゃなくてカプセル…
じゃなくて?」
黒猫は口の中でブツブツ。
なんなの、その可愛い読解力は。
「じゃなくて。ラブホテル」
「あーラブの方ね…それなら納得」
言いかけて黒猫は納得したように頷き、
「「………」」
私たちは顔を合わせたまましばし沈黙。
やがて数秒後に
「は?」
黒猫は大きなお目めをさらに大きくさせて
「ラブホテル?」
ここでようやく理解できたのかもう一度繰り返して、思ったより大きな声が出たのか慌てて口を両手で押さえる黒猫。
何なの、その可愛い反応は。
「行ったことある?」
私が聞くと
「いや、ない」とすぐに返事がかえってきた。
「じゃぁ行こう。社会勉強になるでしょう?」
私が黒猫の手をとって立ち上がらせると、
「いや…社会勉強ってね。どーゆうとこなのかはさすがに分かるよ。
朝都こそ分かってる?
どうゆうとこなのか。
それとも酔ってる??」
黒猫はちょっと早口に聞いてきて、
「分かってるよ。
私は―――あんたとそうなりたいと思ってるの。
酔ったことにして…フリして気軽に誘いたかったけど、
でもそんなんじゃなくて
私、今かなり本気」
私は恥ずかしくて黒猫の顔を直視できずに顔を背ける。
考えが浅いのかもしれない。
でも、したいって思う気持ちに嘘はないし
もっともっと黒猫との距離を縮めたいの。
そう思って俯いていると、
ドサッ
黒猫の持っていた紙袋が地面に落ちて
私はちょっと強引とも言える黒猫の腕に引き寄せられた。