Chat Noir -バイオハザー度Max-
『もう掛けてこないで』
黒猫はそう言った。
あんなにはっきり言われたら次は流石に掛けてこないだろう。
でもロシアン葵ちゃん、何を考えてるんだろう―――
トラネコりょーたくんも妙に警戒してたし。
“好きなタイプ:ネコみたいな人”
ふいにロシアン葵ちゃんのコメントを思い出して、まだ私の隣でのけぞっている黒猫をちらりと見た。
私にはその姿が
伸びをする黒い
ネコに見えた。
「言っとくけど、俺は削除してたから。だからアイツだって分からなかったわけだし」
じっと見つめていると、黒猫がふいに視線だけを横に向けて呟いた。
「分かってるよ」
だって黒猫、本気でびっくりしてたっぽいし。
それに私は
―――黒猫の言葉を信じている。
「喉渇かない?何か飲もうか」
私は不穏な空気を和らげるために椅子を立ち上がった。
「あ、俺も行く」
黒猫も立ち上がっって…立ち上がったふしに床に置いてあった私のバッグを足で引っ掛けちゃったみたい。
バサバサっ
「あ、ごめん」
バッグから中身が飛び出て、床に散らばった。
中に入っていた雑誌を拾いながら、黒猫は
「これ―――…」
手にしたその雑誌を見て目を開いた。
ヤバい……
ロシアン葵ちゃんが載ってた雑誌…!そのまま持ってきちゃったんだ。