Chat Noir -バイオハザー度Max-
それほど遅い時間でもないのに、黒猫は律儀に「送る」と申し出てくれた。
番犬…もとい番ネコに送られる私。
電車に揺られながら、時折レールのカーブで激しく揺られる。
いつもなら10cmのヒールを履いてても大丈夫なのに、酔ったのか?(あれぐらいで)
よろよろとよろけた。
「大丈夫かよ」
と黒猫がさりげなく腕を握って、支えてくれる。
すぐ近くに立つ黒猫。今日はヒールを履いてないから、一段と高く見えるし。
ってかそもそも外で会うことがはじめてだから、いつもこの身長差なんだけど。
でもこんなに接近することは、告白された日以来のことで―――
やっぱり黒猫は男の子で、背が高くて、私を支えてくれる手も力強くて―――
ビールに酔ったんじゃない。
黒猫の“男”の部分に―――酔ったんだ。
「危なっかしいつーの」
と黒猫がちょっと苦笑いを浮かべて、私の頭をさりげに抱きしめる。
支えてくれてるようだけど。
ぅわぁ!
ちょ、ちょっとこれは……!
全然イヤじゃないけど、いきなり過ぎて緊張!!
「支えるフリしてさりげに朝都の髪に触っちゃたりして」
私の頭のてっぺんに顎を乗せてぽつりと漏らす黒猫。
大胆なことしてるってのに、何その可愛い口調。
「……いい香り…」
―――黒猫ぉ~
「朝都ってちっちゃ」
あんたが無駄にでかいんじゃない。
「ちっちゃくて可愛い」
黒猫…
これ以上私のバイオハザード危険レベルを上げるな
ちくしょう
私だって、黒猫の間近で嗅ぐお日さまの香りにドキドキして、心臓が爆発しそうだ。