EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【オーレリアン編】

指にしていると何かと邪魔な時が多い。

普段から気軽に身につけていられるようにチェーンを使え、ということらしい。

「ありがとうございます」

「礼とかいらない。言っただろ。僕に黙って買われてろ」

照れ隠しの言葉を吐きながらレジにチェーンを置く。


(言うことは相変わらずだけど、嬉しいな)


以前よりもずっとオーレリアンを近くに感じられる。

隣にいる大人びた横顔をチラリと見た時だった。

会計担当の若い女性店員がとんでもない数字を言った。


「お会計、一万九百八十円です」


「え……?」


耳を疑って女性店員を見る小鳥。


(え?どういうこと?確かチェーンは三千円だって…)


「ん」

オーレリアンがしれっとした顔で一万と千円を出した。

「え!?オーレリアンさん!?」

「騒ぐなよ。なに?」

「これ、一万円以上でしたよ!?さっき三千円だって言ってたのに…!」

訴えてみたら、なんとも意地の悪い笑みが返ってきた。

「え?三千円?僕そんなこと言ったっけ?」

これには驚愕だ。

「なっ…!?だ、騙したんですか!?」

「バーカ」

「馬鹿じゃないですよ!嘘つくなんてヒドイです!」

「自分の目で値段を確かめなかったお前が悪い」


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