EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【オーレリアン編】
翌日、小鳥は起きて早々、兄弟の前で空元気を振り撒いた。
「昨日はご心配おかけしました!今日はもうすっかり元気なので大丈夫です!」
力こぶを見せつけるポーズをとって元気をアピールする。
しかし――。
「ホントかウソか、つつけばわかる」
なんて言い出したカロンに背中を軽くツンツンされ、フラフラと倒れ込んでしまった。
「嗚呼、可哀相に。酷い熱だよ。早く治すためにも、僕と一緒に運動して汗をかこうか。柩の中でね」
抱き留めてくれた白魔が何やら危険なセリフを囁いているが、熱のせいで半分も理解できなかった小鳥。
嘘がバレてしまったため、そのまま彼に怠い身体を預ける。
「ふざけてる場合じゃないだろ白魔!小鳥はこれから俺達と病院に行くんだから放せっての!」
ルカが兄の腕から小鳥を取り戻した。
どうやらルカも付き添うようだ。
(あいつ何やってんるんだよ。あんな身体で無理して明るく振る舞うとか馬鹿じゃないの)
廊下で行われていた今のやり取りを見てオーレリアンは苛立ちを覚えた。
出掛けようとしていた足を止めて小鳥に近づこうとする。
けれど。
「行ってらっしゃい、オーレリアン」
出掛け支度を済ませたオーレリアンに気づき、小鳥が笑顔でそう言った。
(っ!?お前、まさか…)
自分に気を遣って、彼女は元気に振る舞おうとしたのではないか。
心置きなく研究報告会に出掛けられるように、無理して笑っているのでは。
ならば、こう返すしかないではないか。
「ん……行ってきます」
苦しい笑顔を小鳥に向けてから、オーレリアンは屋敷を出た。