EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【オーレリアン編】
驚愕してから口ごもるオーレリアン。
「そ、それは…」
なぜだろうか。
考えてみたこともなかった。
「自分、思うのです。死んでも死にきれない悔いを抱きながら死んだ者…それが黄泉帰りとなるのではないか、と。自分が…そうでしたから」
「なら…僕の母様は…」
「安らかに旅立たれたのではないですか?自分の運命を受け入れて。もしお母様が蘇ることを望んでいらっしゃるのなら、とっくに闇人となっているでしょう」
つまり、一つの結論に行き着く。
(母様は……蘇ることを望んでいない…?)
そうなら、今まで自分がしてきたことは何の意味もなくなる。
(このままクローン研究を続けても、母様はそれを喜ばないのか…?望まない?)
わからなくなる。
正しいと信じてきた道がガラガラと崩れ落ちていくようだ。
「混乱、させてしまいましたか…?」
「いえ……貴方と話せて……良かったです」
冷静になって返した声は案外しっかりしていた。
拓斗の言葉に衝撃を受けたはずなのに、不思議とすぐ気持ちが落ち着いたのは、母親が闇人になっていない事実が嬉しかったからだ。
(考え直してみるか…。あいつの傍で)
オーレリアンは穏やかな表情で目を閉じた。
瞼の裏に、小鳥の微笑みを描いて。