EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【オーレリアン編】
やっと地上にある屋敷に到着した時、小鳥は正直ホッとした。
ずっとエレベーターに乗っていると耳に違和感が生じるからだ。
「こっち」
エレベーターから降りて細長い廊下を迷いなく進むオーレリアン。
勝手に点灯する淡い光を頼りに真夜中の屋敷を歩く。
ルカと来た時に通った絵画の部屋――ギャラリーをまた通り抜け、一階へ下りるための大階段へ。
そのまま玄関ホールまで来ると、オーレリアンは玄関を開けながら言った。
「庭に行く。屋敷の裏手に回るぞ」
頷いてついて行く。
小鳥は久しぶりに見る夜空を懐かしげに眺めつつオーレリアンを追いかけた。
今夜は新月なのか、月が見当たらない。
その代わり、雲がなく星明かりが綺麗だった。
(お屋敷の裏側は初めて…)
正面の門からは見えない裏庭。
そこはかなり広く、枯れた木々しかない荒れた正面とは様子が異なっていた。
ある程度手入れがされており「庭園」の姿を保っているのだ。
(なんで裏の方を綺麗にしておくんだろう?こっちは正面から見えないのに)
疑問に思っていると、一本の木の前でオーレリアンが立ち止まった。