EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【オーレリアン編】
「連れて来たよ。母様」
オーレリアンが話し掛けた先には、片腕の長さくらいある木の十字架。
それが一本の木の根元に立て掛けてあり、すぐ傍には盛り上がった土があった。
(まさか…ここにっ)
小鳥は恐る恐るオーレリアンに問い掛ける。
「オーレリアン…ここは…」
「うん…。母様の墓だよ」
「でもお母さんは、オーレリアンの部屋に…!」
「この前、地上に運んでここに埋めたんだ」
オーレリアンはしゃがんで白薔薇を十字架の前にそっと置いた。
「いずれちゃんとした墓石を父様に頼んで置いてもらうから。今は…これで許して。母様」
墓に話し掛ける彼を見つめながら、小鳥は軍手をして地上から戻ってきた日のオーレリアンを思い出した。
(あの日に、埋葬したんだね…)
妙に沈んでいた理由も何と無く察することができる。