EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【オーレリアン編】
オーレリアンがキレかかったその時。
開けっ放しだった居間の扉から今度は十歳くらいの女の子が現れた。
「あ、父様だ~。お帰りなさい」
「ああ、ただいま。マリアンヌ」
兄のセレスタン同様、茶色の髪に青い瞳。
マリアンヌと名付けられた彼女は愛らしい笑顔で両親のもとへ駆け寄った。
「マリー、もう寝るんじゃなかったの?」
「うん!おやすみなさい言いに来たの」
小鳥に「おやすみなさい」を言ってからオーレリアンにも就寝前のご挨拶。
可愛い笑顔に癒されたお父さんは我が家の天使を抱き上げた。
「よし、なら僕がマリアンヌを寝かしつけてくる」
「じゃあ母様、母様はボクと一緒に寝よう?」
確信犯なのか潤んだ瞳で見上げられ、不覚にも息子にときめいてしまう小鳥。
「セレスタン、お前は一人で寝られるだろ?母様を頼るな。というか手を出すな」
「父様って子供だよね」
「な、ん、だ、と?」
怒り爆発まであと数秒。
小鳥とマリアンヌがクスッと笑う。
(幸せだなぁ…)
ふとした時に感じる幸福。
それはオーレリアンも同じなようで、息子を怒りながらも小鳥の視線に気づくと柔らかく微笑んだ。
昔の家族写真に写っていた、あの満ち足りた表情で――。
【オーレリアン編 END】
2015/11/20