EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【オーレリアン編】
それからこの日、どのように学校で過ごしたか小鳥はよく覚えていない。
あのトイレでの出来事が頭から離れず、ずっと上の空状態だった。
気がつけば帰宅しており、食事や入浴も済んでいた。
(オーレリアンさんの、元カノ…)
自室にて一人。
もう何十回と思い返した嫌な記憶に再び触れる。
(マザコンて言ってたけど……もしかしなくても元カノさんは、オーレリアンさんがマザコンだから別れたのかな?)
オーレリアンが母親に執着していることは小鳥も知っている。
(オーレリアンさんは自分のせいでお母さんが亡くなったと思ってる。だからスゴク後悔してるんだよね。クローン研究も、お母さんを蘇らせるため…)
以前、オーレリアンは小鳥に自分の過去を少しだけ語ってくれた。
カロンの母親にマリアンヌが殺されたのは自分の我が儘のせいだと、苦しそうに泣きながら教えてくれた。
(あんなにツラそうなオーレリアンさんを見てるから…単なるマザコンで片付けられないよ…)
オーレリアンが母親に抱く気持ちは単純な愛情だけじゃない。
もっと、複雑だ。
それをわかっていて元カノはあんなことを言ったのだろうか。
(わからないけど…一つ、言えることは…)
「私は……オーレリアンさんを見捨てたくない」
もうすぐ就寝時刻だ。
今日も小鳥は彼の部屋を訪れる。