EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【オーレリアン編】
壊れたCDを凝視して、フェオドールの表情が変わる。
普段から無表情が多い彼だが、今はその瞳に冷酷な光を宿し、氷点下を身にまとったような冷たいオーラを放っている。
「っ…!」
殺し屋のような眼差しが真っ直ぐ小鳥を射抜く。
ゾクリとするフェオドールの瞳に小鳥が身体を震わせていると、無言で彼がこちらにジリと一歩踏み出してきた。
「兄様!メスブタじゃない!割ったのはルカだ!」
すかさずオーレリアンが小鳥と兄の間に割り込む。
「………」
相変わらず無言のまま、ゆっくりとルカに向き直るフェオドール。
「ひっ!逃げる!!」
ルカが逃亡しようと、扉目掛けて駆け出した瞬間――。
――ダンッ!!!!
一瞬だった。
素早く動いたフェオドールがルカを勢いよく壁に投げ飛ばした。
「ッ……!!」
叩きつけられた背中に痛みが走り、顔をしかめるルカ。
痛みのため動けず床に崩れていると、フェオドールがコツコツと優雅に近寄ってきた。
そしてルカを冷めた目で見下ろしながら、一言。
「兄様ごめんなさいと、千回言え」
ブチ切れて魔王化した兄は続けてこう言った。
「言えたら殺すのはやめてやる」
言えなかったらルカはここで人生ジ・エンドのようだ。