EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【オーレリアン編】
「……もしかしてお前さ、僕のこと意識してる?」
「っ!!」
「顔真っ赤。答えなくていいよ。バレバレだから」
「ううっ…」
だって仕方ないじゃないか。
カッコイイのだから。
そう喉まで出かかったが小鳥はグッと呑み込んだ。
「……まあ、意識されるのは……悪くない、か」
「え…?」
「何でもない。ほら、僕ばっか見てないで兄様の演奏を聴きなよ。この曲、超絶技巧だから、家じゃ面倒臭がって滅多に弾いてくれないよ」
「ちょうぜつぎこう?」
「目茶苦茶演奏するのが難しい曲のこと。兄様みたいに高度な演奏テクニックがないと到底弾けない」
さりげなく兄自慢をするオーレリアン。
彼の説明を聞きながら小鳥は曲に耳を傾けた。
速いテンポで旋律が紡がれる、軽やかな曲だ。
弦を押さえるフェオドールの指は引っ切り無しに動いており、瞬間移動で手の位置が飛び回っている。
「可愛いメロディーですね。なんて曲なんですか?」
「《妖精の踊り》バッジーニ作曲」
「あ、言われてみると妖精さんぽいです」
小さくて可愛らしい妖精があっちこっちで踊っている様子が目に浮かぶ。