EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】

白魔がゆっくりとソファーに近づく。

彼は小鳥をじっくり見つめてから同情するように顔を歪めた。

「嗚呼、まだ慣れてないだろうに。こんなに酷く抱かれて…可哀相に」

「見るな!」


殺気立ったフェオドールが兄を睨みつけながら小鳥を抱きしめる。


「ハハッ。君の慌てっぷり、なかなか滑稽だよ」

白魔は笑いをおさめるとフェオドールの耳元で囁いた。


「ねえ、小鳥のこと僕にも抱かせてよ」

「許さないっ」

「ふーん。君より優しくしてあげられる自信あるんだけどな」

「しつこいぞ」

「そう?」


また、笑う。

白魔が奸計でも企むような表情を見せた丁度その時、小鳥の意識がゆっくりと浮上した。


(ん……フェオ、さん…?誰か、いるの…?)


フェオドールが誰かと会話しているようだと気づいたが、まだ身体が怠いので寝たふりを決め込む。

小鳥は目を閉じたままぼんやりする頭で会話を聞いていた。


「じゃあさ、小鳥のこと貸してよ」


(この声……白魔さん…?)


「……どうするつもりだ」

「悪いようにはしないさ。ちょっとパーティーに付き合って欲しいだけ」


(私のこと、話してる…?パーティー?)


「明日、知人の家で開かれるパーティーに招待されてね。一緒に行く女性を探してたんだ。一日小鳥を貸してよ」


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