EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
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結局、音楽愛好家のパーティーには一人で出席した白魔。
握っていたメモリースティックも使い道がなくなったのでフェオドールに返した。
それから、何事もなく数日が過ぎ…。
「終わったー!!休みだ!温泉だ!」
無事にルカの歓喜の叫びが居間に響く日を迎えた。
そう、長期休暇の始まりだ。
「ていうか夏に温泉行くのか?普通冬じゃね?」
カロンが漏らした疑問に対し静理がフッと笑う。
「夏も良いものだよ。お客が少なくて落ち着ける」
貸し切りか!と騒ぎ始めたルカとカロンをオーレリアンが鬱陶しげに睨みつける横で、小鳥はフェオドールに気になることを尋ねた。
「温泉までどうやって行くんですか?確か地上…ですよね?」
「多分、車で移動する。もちろん夜中に」
聞けば地上の屋敷の方に車庫が存在し、八人乗りの黒い自動車があるのだとか。
「明日出発だから、みんな荷物の準備をしておくようにね」
まとめ役の静理に言われ、それぞれ頷いたのだった。