EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
楽しそうに話してくれる小鳥に視線を移し、フェオドールはちょっと前の出来事を思い出した。
(確か…以前マドモアゼルに曲をリクエストした時…)
――えと……じゃあ…その…“星に願いを”ってわかりますか?
――ああ…人間の曲だな。それでいいのか?
――はい!お願いします
ヴァイオリンで弾く「星に願いを」を嬉しそうに聴いてくれた小鳥の顔がフェオドールの頭に蘇る。
「やはり…幼くても、君は君だな」
「え?」
「いや…何でもない。君の言う通り、その曲もこの美しい夜空と同じくらい綺麗だ」
夜空と曲を褒めているはずなのに、フェオドールの瞳はジッと小鳥を見つめて全くそらさない。
他人から不躾なほど見られることに慣れていない小鳥は頬をほんのり赤らめた。
(見られ、てる?なんだか…ドキドキするっ)
見つめ合う二人。
そこに割り込んでムードをぶち壊すのが、言わずもがな、弟達の役目である。
「はい、小動物回収」
「ひゃ!?」
ひょいとカロンに抱え上げられて驚きの声が出る。
「カロンお兄ちゃんと遊ぼうなー。お代官様ごっこなんてどう?」
「おだいかんさま?」
「ふざけんなよカロン!小鳥っ、俺んとこおいで!」
帯の代わりにタオルをクルクルしようとしたカロンに激怒しルカが小鳥を引き寄せた。