EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
「どうしたの?」
「アツイから…」
火照る身体が怠いのか、普段より動きがのろい。
フェオドールは小鳥を気遣かって一緒に上がった。
「身体、洗いに行く?」
「うん…」
「俺が洗ってもいい?」
耳に甘く囁かれた時、入浴の火照りとは別に小鳥の体温が上昇した。
「…自分で…あらえるから…」
ドキドキしながら身体に巻いてあるタオルをキュッと握る。
彼女の返事にフェオドールは寂しげな目をしたが、納得するように頷いた。
「俺もそろそろ上がろうかな」
「静理も?」
「のぼせやすいから、あまり長湯できないんだ」
ルカと話していた静理ものぼせる前に上がろうと立ち上がる。
その時、小鳥は彼の背中に広がる痛々しい痕を見てしまった。
「しずにい、背中だいじょうぶ?イタそう…」
「ああ…平気だよ。古傷だからね」
とことこと近寄って心配してくれる小鳥に笑顔を向ける。
その後、小鳥達は並んで身体を洗ったが、結局浴室内で幼い彼女がもとの年齢に戻ることはなかった。