EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
ちなみにルカと静理は別の卓球台で打ち合っている。
オーレリアンは興味がないのか近くの椅子に座って持参した本を黙読中だ。
「ほらっ、小動物。またあんたにだぜ。俺の球を受けてみろ…!」
「え!?あっ、えい!」
コンッという音を立てて球が飛ぶ。
初めて打ち返した小鳥に白魔とカロンが軽く目を見開くが、それらはすぐに獲物をいたぶる時の微笑へと変わった。
「そうこなくちゃね。僕達が簡単に勝っちゃ詰まらないよ」
白魔が返し、ラリーの応酬となる。
何回か続いた時だった。
「ちょっとマジになる」
そう宣言したカロンが目を鋭くさせ本気モードの速い球を打った。
すると…。
「え、きゃあ!?」
バウンドした瞬間に球が運悪く小鳥の顔に激突。
「あ……わりぃ」
「うわ…カロン最悪。僕のプリマドンナの顔になんてことしてくれるのさ」
球は額に直撃したため、小鳥はラケットを持ったまま涙目でおでこを押さえた。
「ふえ……イタいよぉ…」
今にも瞳から涙がこぼれ落ちそうな様子にフェオドールが慌てて傷の具合を確かめる。
とその時。
――バンッ!!
わざとらしく大きな音を立ててオーレリアンが本を閉じた。