EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】

「カロン…潰す」

ボソリと呟き椅子から立ち上がる。

オーレリアンは本を置くと小鳥に近寄り、彼女からラケットを奪った。

「あ…お兄ちゃん?」

「選手交代。後は僕がやる。お前は見てろ」

小鳥を脇に追いやって、彼がフェオドールのペアになる。

落ちていた球を拾うとオーレリアンはカロンをキッと睨んだ。

「覚悟しなよ、カロン」

「げっ…殺される感じ?」

「チビブタを泣かせた罪は重い」

「いやいや、まだ泣いてなくね?涙目なだけで」

「うるさいな。僕がむしゃくしゃした時点で同じことなんだよ!」

オーレリアンのサーブが来る。

速い球だったがカロンはなんとか返した。

「兄様っ!」

「わかってる」

フェオドールがすかさず打ち返す。

彼の浴衣が少し開けた。


「お兄ちゃん…フェオにい…」

ズキズキする額を押さえながら試合をハラハラ見守る小鳥。


こうして試合はフェオドールとオーレリアンの最強ペアが押し返し、小鳥の血は護られたのだった。





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