EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
「フェオドール、速度落として通過しなよ。怪しまれないようにさ」
「わかった…」
白魔のアドバイス通り、スピードを落として何気なく遠ざかろうとしたフェオドールだったが…。
「っ…危ない!」
彼は慌ててブレーキを踏んだ。
なぜかと言えば、パトカーの傍にいた警官二名がいきなり自分達の車の目の前に飛び出してきたからだ。
轢いても良かったが、無駄な殺生はしたくない。
フェオドールの急ブレーキにより車内は激しく揺れた。
「きゃ!」
「馬鹿っ!何止まってんだよフェオ!」
小鳥の悲鳴にルカの罵声が重なる。
フェオドールが謝罪を口にするよりも早く、外にいる警官が運転席の窓をドンドン叩いた。
警戒しつつ窓を開けたフェオドールは運転席から警官を睨みつける。
「なぜ止められたのかわからない。スピード違反はしていないはずだが」
そう話を切り出せば、警察の制服を着た男達はニコニコと胡散臭い笑みを浮かべてこう言った。
「スピード違反?もちろん違いますよ」
「この辺りは辺鄙で人も少ないところですが、近頃は何かと物騒でしてね」