EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
「それはつまり、死と同義じゃないか」
彼の乾いた瞳が目の前の青薔薇を映す。
「青薔薇の花言葉は……奇跡。こんなくだらないことは、覚えているのに…」
呟いてからフェオドールは青薔薇の花弁をくしゃりと握り潰した。
パラパラと、彼の手から「奇跡」のひとひら、ひとひらが零れ落ちていく。
「フェオさん!?」
悲鳴にも似た呼び掛けは、今まさに考えていた少女のものだった。
「何してるんですか!?薔薇が…!」
フェオドールの様子を心配して来てみれば、彼は丹精込めて咲かせた自分の大切な青薔薇を散らしていた。
こんな光景、見たことがない。
「こんなことしちゃダメです!フェオさんは、こんなこと…」
「…しなかった?以前の、俺は」
俯きながら、小さくコクリと頷く小鳥。
今にも泣き出してしまいそうなその様子に、フェオドールの胸がチクリと痛む。
「……なら、こうして君に薔薇を贈ったことは?」
彼女を笑顔にしてあげたくてーー。
テーブルの上に置いてあった剪定バサミでパチンと青薔薇を一輪、摘み取る。
フェオドールは小鳥にそれを差し出した。