EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
「…あります」
部屋にそっと置かれていた青薔薇を思い出した小鳥は懐かしさに少しだけ微笑みながら目の前の青薔薇を受け取った。
「ハァ……わからないことだらけだ…」
小鳥の表情を切なげに見つめ、フェオドールが溜息混じりにボソリと呟く。
「薔薇の扱いだけじゃない。ヴァイオリンも……構えることはできるのに、それから先、どう動けばいいのかわからない。君にだって同じだ」
フェオドールは優しく小鳥を引き寄せ、腕に閉じ込めた。
「こんなにも自然に抱き寄せることができるのに、そこから先、君にどう触れればいいのか……わからない」
彼の切ない吐息が小鳥の耳に掛かる。
不安定なフェオドールの支えになりたくて、小鳥はそっと彼の背中に両手を回した。
「………なら、私が…」
教えてあげると言いそうになり、我に返る。
(今、私…何を言うつもりだったの…!?)
無意識に、流れに任せてとんでもない大胆発言をするところだった。
危ない危ない、と胸をドキドキさせる小鳥。
しかし、言葉を引っ込めた小鳥に対し意地悪にもフェオドールは続きを促してきた。
「私が……何?」
「な、何でもないです…!」
「そうか……残念だ。君が教えてくれるものだと期待してしまったから」
確信犯なのか、ふわりと微笑むフェオドール。