EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】


 という訳で、翌日に早速フェオドールは行きつけの居酒屋「狂詩曲(ラプソディー)」へ兄を連れていった。

話題はもちろんーー。

「え?プロポーズの方法?」

「アドバイスをくれないか」

「人選ミスじゃないかな」

「静理が一番まともに話を聞いてくれそうだったから。つい」

そんな理由でか、と溜息をつきつつ頼られた静理は面倒臭そうに弟を見遣る。

「そういうことは白魔に聞いたらどうかな。きっと色々知ってるよ」

「……白魔に…?」

フェオドールの目は「本気で言っているのか」と静理に訴えていた。

「……白魔だけは嫌だ。絶対に鼻で笑われる」

「そんなのわからないよ。白魔は気まぐれだからね」

「いや……こればっかりは想像通りの反応をされそうだ」

「へえ、君は僕に鼻で笑われることをご所望か。いいね、存分に笑ってあげる」

ビクリ。

背後から聞こえたねちっこい声にフェオドールの身体が震える。

恐る恐る振り返れば、そこにはクラヴィエ家の気まぐれ長男がいた。

「相変わらずこの店は品がないね。惨めな奴らの吹きだまりなだけあって僕の性に合わないよ」

弟達が腰掛けているカウンター席に近寄りながら小汚ない店内を不躾に見回す白魔。

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