EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
家事を分担しろと言われるのだろうか。
どこかへ遊びに行きたいという我が儘かもしれない。
まあ、何を言われようと応えてやろう。
そう決めていたフェオドールの耳に飛び込んできた内容はというと…。
「白魔さんの音楽会に招待されたので…行きたいです」
「……え」
「今度、ドイツでやるそうですよ。あとはですね、カロンさんのチケットもあるんです。今、イタリアでツアー中らしくて」
「……えっ…え?」
「それからルカくんやオーレリアンさんからもメールが…」
「ま、待ってくれ、マドモアゼル…!」
「フェオさん、私もうマダムですよ?」
「っ!しまった……慌てると、つい癖で呼んでしまう」
安心できる彼の腕の中で小さくクスリと笑ってから、小鳥は数年前を思い出す。
「私、フェオさんにマドモアゼルって呼ばれるの…好きでした」
ちょっとくすぐったい、甘い響き。
「……なら、また呼んであげようか?」
「え…良いんですか?」