EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
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フェオドール行きつけの居酒屋はかなり汚い裏通りにあった。
先程までいた劇場周辺はオシャレな店や住宅が多かったのに対し、こちらは荒れた建物が多く、柄の悪そうな連中がたむろしていそうな雰囲気だ。
小鳥はちょっと不安になった。
「ここだよ~」
暗くて静かな通りにミロスラフの声がやけに明るく響く。
彼は「狂詩曲(ラプソディー)」と書かれた看板が下がっている店の扉を開けた。
「ヤッホー!飲みに来たよ~」
先頭のミロスラフが慣れた様子で店員に話し掛ける。
その間にフェオドールは小鳥の肩を抱いてU字型のカウンター席へ案内した。
(居酒屋って言ってたけど、バーみたい)
テレビで見たことがあるバーの雰囲気を思い出しながら店内を見回す小鳥。
カウンター以外にもいくつかテーブル席があり、パラパラと客がいた。
皆、常連のようで、気軽にミロスラフと会話している。