EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
「で、今日の反省は?」
酒を受け取ったミロスラフが横目でフェオドールを見た。
「ああ……途中で一瞬、頭の中が真っ白になってビックリした」
「へ~。珍しいね。何か考え事しながら弾いてたの?」
「……マドモアゼルのことを…考えていたら…」
チラリとフェオドールが視線を送ってくる。
小鳥は慌てた。
「え…!?わ、私のせいですか!?」
「いや、君のせいじゃない。俺がふと、意識してしまっただけだ」
「でも、なんか…すみません…」
しょんぼりと縮こまる小鳥。
それを見たミロスラフがフォローに回る。
「フィアンセちゃんが謝ることないって!それに、フェオにとっても悪いことじゃないでしょ?誰かを思って演奏するの、結構大事だよ」
「そうですよ。感情がこもると一味変わりますし」
聞いていたセルトも会話に入ってきたところで、ミロスラフがお気に入りのシルクハットを脱いだ。
それを手でクルクル回しながら彼はニヤリと笑う。
「要するに、あれでしょ。フィアンセちゃんの前で良いとこ見せようとして自滅しかけたんでしょ」
「………」