EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
「聴きたい…?」
確認するようにフェオドールは小鳥の顔を覗き込んだ。
「いつもの演奏より、かなり粗野なものになると思うけど…」
「え…と…」
そう言われてもどんなものかわからない小鳥は返事に困る。
フェオドールはもっと具体的に説明しようと試みた。
「……白魔に低俗だと言われた」
「えっ!?そうなんですか!?」
「フェオの兄ちゃんもヒドイこと言うよねー。確かに大衆音楽だけどさ、低俗の一言で片付けるなっての」
ミロスラフがプンプン怒って文句を言っていたその時、店の扉が開き客が来店。
そちらを見たセルトが嬉しげな声を上げる。
「ああ、いらっしゃいませ!久しぶりですね、漣(さざなみ)」
「おー、来てやったぞ。有り難く思え」
見覚えのある黒髪の青年。
小鳥は記憶を探ってハッとした。
「お化け屋敷で会った人!?」
「ん?貴様、クラヴィエ家の…。ほう、フェオと一緒か」
お化け屋敷で出会った軍学校の生徒の一人、漣。
彼はカウンターに近寄ると親しげにフェオドールを見た。
「マドモアゼル、漣を知っているのか…?」
「はい。遊園地のお化け屋敷で…その…」
「俺様が手を舐めてやった」