EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
「漣の次はセルトだ」
「ありがとうございます」
フェオドールに指示されセルトのツィンバロムがメインに。
(うわ~!セルトさんの楽器、ポロポロ鳴って可愛い!)
ツィンバロムの音色はハープのよう。
テンポアップが続く中で目で追うのがやっとなバチ捌きには圧倒される。
「ミロ、どうぞ」
セルトが主役を譲ると、ミロスラフはウインクで応えた。
ターロガトーを吹く彼に合わせて周りの客の手拍子も加わる。
小鳥も楽しくなって手でリズムを取った。
(あ!今、気がついた!同じメロディーだけどちょっと違う!)
繰り返される旋律は主役によって多少アレンジが異なっている。
それもそのはず、即興変奏に等しい楽譜無しの演奏だ。
調や最低限のモチーフだけを決めて後は主旋律を任された個人が好きに弾き、周りが合わせるといったスタイルなのだ。
「トリはフェオー!」
一瞬、ターロガトーから口を離してミロスラフが叫ぶ。
するとフェオドールが楽しそうに口元を緩ませた。