EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
さてその後、決まったは良いが小鳥は一つ困っていた。
そのため今、こんな状況になっている。
「オーレリアンさん、お願いします!ケーキの材料買いに行くの、付き合って下さい!」
「はあ?なんで僕が」
モンブランを作るための材料を買いに行きたいが、一人で外出は怖い。
「フェオさんには秘密にしたいからお願いできないし…ルカくんとカロンさん、今日は仕事だって…」
「暇人馬鹿のルカが仕事?」
「バイトって言ってました」
「なら静理か白魔に頼めば?」
「静理さんもいないんです。早起きしてどこかに行っちゃったみたいで…。白魔さんは寝てます」
「寝てる白魔を叩き起こしなよ。じゃあね」
素っ気なく小鳥の横を通り過ぎようとしたオーレリアンだったが、ガシリと腕を掴まれた。
「ま、待って下さい!」
「なんだよ。僕だって暇じゃないんだけど」
鬱陶しげに小鳥を睨みつける。
「お願いします…!オーレリアンさんが…良いんです」
潤んだ瞳で見つめられ、不覚にもオーレリアンはドキリとした。
小鳥が自分を指名して頼るなど、予想外の展開だ。
内心かなり焦りながら冷静を装って、小鳥に問いを投げ掛ける。
「……なんで、僕なわけ?」
「その…一口にモンブランて言っても色々あるから…オーレリアンさんならフェオさんのことよくわかってるので、好みとかアドバイスしてくれると思って…」
「……ふーん…そういうこと」
確かに白魔じゃテキトーなアドバイスになりそうだ。
納得してからオーレリアンは小さく溜息をついた。
「…わかった。ついてってやるから支度しろ」
「良かった…!ありがとうございます!」
「ふん…」
喜んだ小鳥の笑顔がちょっと可愛く思えたなんて死んでも言ってやらない。
オーレリアンも出掛ける準備をしに自室へと戻った。